1:2016/11/01(火) 19:25:11.78 ID:
J1リーグのセカンドステージが大詰めとなった10月29日、東京のJFAハウスにて、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)2016の組み合わせ抽選会が行われた。

 昨年まで「地域決勝」もしくは「地決」の名で親しまれてきた全国地域リーグ決勝大会は、第40回大会を迎える今年から地域CLとして新たな歴史を刻むこととなったが、名称が変わってもレギュレーションの過酷さに変わりはない。北は北海道から南は九州まで、全国9つに分かれた地域リーグに所属する「上を目指す」クラブは、各地域で優勝し、なおかつこの地域CLで上位成績を収めなければ、全国リーグであるJFLに昇格することはできないのである。

 まずは抽選会の結果をご覧いただくことにしよう。今大会に出場する12チームは、以下の3つのグループに振り分けられることになった。

Aグループ(愛媛会場):ノルブリッツ北海道FC(北海道)、FC今治(四国)、ヴィアティン三重(東海/全社枠)、SRC広島(中国)

Bグループ(富山会場):三菱水島FC(中国/全社枠)、FC刈谷(東海)、コバルトーレ女川(東北)、アルティスタ東御(北信越)

Cグループ(山梨会場):鈴鹿アンリミテッドFC(東海/全社枠)、アルテリーヴォ和歌山(関西)、JFC MIYAZAKI(九州)、東京23FC(関東)

 ここで「全社枠」について説明しておく必要があるだろう。全社枠とは、全社(全国社会人サッカー選手権大会)の上位3チームに与えられた地域CLの出場権である。この全社は、32チームによる社会人チームのトーナメント戦なのだが、5日間連続で試合が行われる世界でも類を見ない過酷な大会として知られる。今年は10月22日から26日まで、愛媛県で開催されており、1位三菱水島、2位鈴鹿、3位三重が全社枠を獲得した。

 一方で全社は、この年の地域CLの行方を占う前哨戦と位置づけることも可能である。もっとも、すでに地域CLの出場権を得ているチーム(いわゆる「権利持ち」)は今治と東京23の2チームのみ。それでも、普段はなかなかニュースにならないカテゴリーの「今年のトレンド」は俯瞰することができる。本稿では、今年の愛媛全社を総括することで、11月11日から始まる地域CLを展望する手がかりとなれば幸いである。

 全社という大会に出場する32チームは、そのすべてが全社枠の獲得を目指しているわけではない。「ウチはあくまで力試しとして参加しています」と言い切る監督もいるくらいである。一方で「権利持ち」のチームは、できればこの大会で連戦のシミュレーションはしておきたい。とはいえ、全社で5連戦もしてしまうと、対戦相手に研究されてしまうリスクもある(実際、地域CLの出場チームは、スカウティングのスタッフを愛媛に送り込んでいたようだ)。

 当然、この全社を勝ち抜いて、是が非でも全社枠を獲得しなければならないチームもある。北信越リーグ2位のサウルコス福井、関東リーグ2位のVONDS市原FC、東北リーグ3位のFCガンジュ岩手、中国リーグ2位の松江シティFC、四国リーグ2位の高知ユナイテッドSC、九州リーグ2位のテゲバジャーロ宮崎などなど。これらのチームは、将来のJリーグ入りを目指しながら、それぞれの地域でチャンピオンになることができず、全社枠獲得にすべてを懸けていたのである(地域リーグウォッチャーは、これを「全社懸け」と呼ぶ)。

 今大会の「全社懸け」のチームで、個人的に印象に残ったチームが2つある。まず福井。松本山雅FC、ツエーゲン金沢、そしてAC長野パルセイロといったライバルたちが「卒業」して以降、福井は北信越リーグで無敵の存在となっていた。12年から15年まで4連覇して地域決勝に連続出場。しかし、どうしても全国の分厚い壁を突破できないまま、今季はアルティスタ東御に5連覇を阻まれてしまう。「全社懸け」で臨んだ今大会では、2回戦で対戦した三重に決められたPKによる1点に沈み、その時点で彼らの今シーズンは終了した。

 もうひとつの印象的な「全社懸け」は、市原である。かつて清水エスパルスを率いたセルビア人指導者、ゼムノビッチ・ズドラヴコ氏を監督に迎えた市原は、福井とは違った意味で地域CLの舞台を渇望していた。今年の決勝ラウンドは、彼らのホームのゼットエーオリプリスタジアムで開催されるのだが、実は2年前の大会でも同スタジアムは決勝ラウンドの会場に選ばれている。しかし1次ラウンドで敗退していた市原の選手は、この時は運営スタッフとしてライバルたちの戦いを眺めるしかなかった。「今度こそ自分たちがあの舞台で」──そんな彼らの想いは、2回戦で潰えてしまう。延長戦の末に市原を打ち倒したのは、福島県2部ながら全社に出場して注目を集めていた、いわきFCであった。
 
2:2016/11/01(火) 19:25:44.95 ID:
 
今大会、関係者の注目を集めていたのが、開催地枠で出場していたFC今治、そして初出場のいわきFCである。元日本代表監督の岡田武史氏がオーナー兼CMO(チーフ・メソッド・オフィサー)を務め、デロイトトーマツコンサルティングをはじめとする大企業をパートナーとして話題を集めている、FC今治。米国スポーツメーカー『アンダーアーマー』の日本総代理店である株式会社ドームが全面的にサポートしている、いわきFC。実はこの両者は、まったく方向性が異なるアプローチで、今大会に臨んでいた。

 今治については、これまでたびたび言及してきたように、地域リーグでは異質と言える徹底したポゼッションサッカーを身上としている。関大FC2008との1回戦では、相手に先制されても決して動じることなく、緻密なパスワークで相手を揺さぶりながらチャンスを作り、面白いようにゴールを重ねてゆく。終わってみれば4?1。相手が学生チームだったとはいえ、まさに今治の真骨頂と言えるゲームであった。

 一方のいわきは、今治とは対局のスタイルであった。「日本のフィジカルスタンダードを変える」という明確なビジョンのもと、アンダーアーマーのメソッドによるエクササイズとサプリメントをフル活用して、選手の肉体改造を短期間で実現。およそ県リーグとは思えない強じんな体格とフィジカルを前面に押し出し、対戦相手を蹴散らすことで全社の一点突破を図った。市原との2回戦では、前半にPKとCKから2点を先制されたものの、後半はデュエル(球際の競り合い)と高さとスピードで相手を圧倒。延長戦の末、4?2で見事に逆転勝利を収めている。

 しかし今治もいわきも、その後は快進撃とはならなかった。前者は2回戦でジョイフル本田つくばFCに0?0の末、PK戦1?4で敗退。後者も準々決勝では三重の固い守備を崩すことができず、0?2であっけなく敗れてしまった。なぜ、今大会の注目チームは期待に反して敗れ去ってしまったのか。それぞれの対戦相手の指揮官は、このようなコメントを残している。
 
3:2016/11/01(火) 19:25:59.89 ID:
 
「今治さんが質の高いポゼッションで来るのは分かっていました。ウチはもともとパスをつなぐスタイルなんですが、今治に対してはしっかりブロックを作ってカウンターという戦術に徹しました」(つくばの副島秀治監督)

「いわきに対しては、空中戦では勝てないし、まともにぶつかっても吹き飛ばされる。ただし技術はあまり高くないんですよね。だったら、しっかりパスを回していけばいい。空中戦でも、競り勝ちにいくのではなく、こぼれたところを全部狙う。拾って素早くパスをつないだら一気に相手ゴールを目指すように指示しました」(三重の海津英志監督)

今治のポゼッションにしても、いわきのフィジカルにしても、このカテゴリーにおいては確かに有効な武器になっていたと思う。しかし反面、こうした分かりやすいスタイルは、相手に対策を立てられやすいというウイークポイントも内包していた。たとえば今治にパワープレーという隠し玉があるとか、いわきに流れを変えられるベテランがいれば(今回のメンバーはほとんどが23歳以下の若い選手ばかりだった)、さらに勝ち進むことができたのではないか。それが、10年前からこの大会を取材してきた私の見立てである。

 注目の2チームを破ったつくばと三重は、いずれもベスト4に進出。これに、全社2位となった鈴鹿に共通していたのは、突出したストロングポイントこそなかったものの、対戦相手に合わせて柔軟な戦いができたこと、そして福井や市原のような過度のプレッシャーがなかったことが挙げられよう。これに対し、鈴鹿との決勝をPK戦の末5?3で制した三菱水島は、典型的なカウンター主体のチーム。もちろん、目立ったタレントがいるわけでもないし、戦術のオプションを持っているわけでもない。しかし、だからといって彼らの優勝がフロックだったと言うつもりもない。

 三菱水島の菅慎監督は、準決勝に勝利して全社枠を獲得した際に「(今大会は)言ってみれば力試しみたいな感じでしたので、まさかここまで勝ち上がれるとは思っていませんでした」と正直に語っている。選手全員が働いているため、夜に行われる練習に集まるのは6人程度。今大会は、夜勤明けでチームに合流した選手もいたという。そんな三菱水島を支えていたのは、「全国の舞台で自分たちの力を試したい」というチャレンジ精神、そして周囲から注目も期待もされていないがゆえのノープレッシャーな状態が、彼らの潜在能力を最大限に引き出すことになったのではないか。

 元日本代表監督が会長を務めるクラブや、米国スポーツメーカーのメソッドが注入されたクラブを差し置いて、純然たる企業クラブが32チームの頂点に立つことができるのが、全社という大会の不思議さであり面白さである。そしてその傾向は、地域CLにも言えるだろう。

 地元で1次ラウンドを迎えられる上に、対戦相手にも恵まれたように見える今治。抽選会に臨んだ高司裕也GMは、自分たちの強みについて「他のどこよりも、昇格への気持ちが強いこと」を挙げている。しかしそれが、諸刃の剣となることを示したのが、今回の全社ではなかったか。全社にしろ地域CLにしろ、必ずしも強いチームが勝つわけではない。いささか言い古された表現ではあるが「勝ったチームが強い」のである。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201610310004-spnavi?p=2
 
4:2016/11/01(火) 19:34:28.91 ID:
東海が強くて四国が弱いのは判っていた
 
5:2016/11/01(火) 19:40:02.73 ID:
今治は地決でも決勝ラウンドでコケそうだよな