横浜Ｍが今季、大きな転換期を迎えた。練習場を９年間過ごした横浜市西区のマリノスタウンから、
同市港北区で日産スタジアム隣の新横浜公園内に移転。球団事務所も新横浜駅近くに移した。
クラブは港北区、同区連合町内会の３者でホームタウン活動の協力に関する協定を締結。
「地元密着」を前面に掲げ、クラブ関係者が「港北をトリコロールに染める」と意気込む方策を探った。（武藤　瑞基）

　新生マリノスの門出を祝うように、青空が広がっていた。横浜ＭがＪ１最速で始動した１１日、
日産フィールド小机には約３００人のファンが詰めかけた。国内屈指の施設だったマリノスタウンから
市民公園に場所を移しても選手、サポーターの熱気は変わらなかった。

　年間５億円超の施設関連費を削減するための移転だが、クラブ関係者はピンチと捉えていない。
ホームタウン・ふれあい事業部の木村昌実部長は「商店街など、地元の方々から温かく応援していただいている。
港北を（チームカラーの）トリコロールに染めていきたい」と意気込む。

　まずは練習場と日産スタジアムに最寄りの小机駅を管轄するＪＲ東日本横浜支社と手を組んだ。
同駅の発車メロディーはサポーターズソングの「Ｗｅ　ａｒｅ　Ｆ・Ｍａｒｉｎｏｓ」
（作詞・マリノスサポーター＆ゆず、作曲・北川悠仁）に変更され、２３日にお披露目された。
１番線はサビの「トリコロールの旗の～」、２番線はイントロの「ＷＯＷ　ＷＯＷ～」、３番線は歌い出しの
「風を切って走り出す～」がアレンジされている。

　早くも“音鉄”が現れるなど注目を集めているが、レアなのが２番線だ。同ホームが使用されるのは
午前５時１４分、同３６分、６時２８分（休日は７時５２分）と早朝発の３本だけ（いずれも八王子行き）。
ＪＲ関係者は「気になるサポーターの方はぜひ早起きしてください」と呼びかけた。小机駅の階段や壁は
トリコロールカラーやエンブレムで彩られ、選手のサイン入りユニホームやボール、ＤＦ中沢佑二の
等身大パネルも設置される。

　本拠地のある港北区との連携も深める。すでに区役所にホームゲームの告知横断幕や情報ボードが
設置されており、区職員の名刺にはマスコットの「マリノスケ」が印刷されている。
また「サッカースペシャルキャラバン」と題し、区内の小学校を選手が訪問する企画も継続中。
各校の校長からは「子供たちが本当に喜んでいる。学校内でマリノスの話題が増えました」と好評だという。

　港北区、同区連合町内会とは協定を締結。マリノスケが同区へ「転入届を提出」するプランも浮上している。
同区の人口は約３４万人。昨季の調査では全観客のうち、港北区からの割合は約１０％だった。
木村部長は「区内の１割の方が来ていただければ（７万人収容の）日産スタジアムの半分が埋まる。
ぜひ目指していきたい」。本拠地をトリコロールカラーに染めるべく、地元愛を訴えていく。

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