★名古屋が八木のゴールで追いつくも、ホーム最終節は浦安とドロー決着《名古屋vs浦安》

▽19日にテバオーシャンアリーナで行われたSuperSports XEBIO Fリーグ2016/2017第33節、名古屋vs浦安は1-1で引き分けた。

▽2位が確定している名古屋、前節でプレーオフ進出の望みが絶たれた浦安。お互いに勝敗がリーグ戦の順位を左右しないシチュエーションだったが、ホームラストゲームを勝利で終えたい名古屋と、クラブの礎を築いた小宮山、米川監督を勝利で送り出したい浦安の対戦は、気持ちと気持ちがぶつかり合う激しいゲームだった。

▽名古屋はゴレイロに2試合連続で岡島をスタメン起用。酒井ラファエル良男、星龍太、シンビーニャ、八木聖人という布陣で臨んだ。浦安はゴレイロ藤原、荒牧、中島、星翔太、チュスでスタート。ピッチの幅を存分に使い、サイドの奥深くへの縦パスから攻撃を組み立てる名古屋。浦安は押されながらも守備のバランスに腐心し、ボールを奪うと自陣からの仕掛けを交えて名古屋ゴールへ迫る。

▽5分、名古屋は左サイド中村から右奥への安藤へロングパスが通るが、浦安のゴレイロ藤原が1対1を制してボールキャッチ。7分にも中村からのパスを安藤が持ち込むが、またしても藤原がブロックする。8分、シンビーニャからのパスを受けた星龍太が右斜めにドリブルし、ファーポストめがけてシュートを放つが、突っ込んだ前鈍地のわずかに後ろを通過する。17分、左サイドでシンビーニャがマークについた荒牧を外し、藤原と1対1の局面を作るも、シュートはゴール左。場内から大きなため息が漏れた。

▽浦安は前半終了間際、何度か惜しいチャンスを作る。17分、中島の短いパスを受けたチュスがループ気味のシュートを放つがこれはゴール上。18分にはゴール前からチュスが独力で持ち込み、中央フリーの星翔太にラストパス。だがシュートは名古屋ゴレイロ岡島のセーブにあってしまう。前半はこのままスコアレスで終了。小宮山対酒井、ケニー対シンビーニャ、星翔太対ダニエルなど、各所でバチバチのバトルが展開され、見どころいっぱいの前半だった。

▽後半、名古屋は好セーブを連発していた岡島に代えて関口を起用する。先にゲームを動かしたのは浦安だった。25分、自陣でボールカットした小宮山が左に展開すると、ケニーが縦に持ち込み、中の野村へ。野村はマーカーを背負いながら右に反転して右足シュートを放つ。これがゴール左に突き刺さり、浦安が先制した。

▽先制され圧力を強める名古屋は、浦安陣内でゲームを進める。28分、中央でボールを保持したシンビーニャが右角の前鈍地にはたき、リターンをスルー。左から駆け上がってきた八木がドンピシャのシュートを決めて同点に追いついた。八木はその後もサイドから中への切れ込みで浦安DFをほんろう。33分には八木の左からのカットインからセルジーニョがヒールシュートを狙うも、これは藤原がかろうじてセーブする。

▽お互いに攻めながら、決定的なシーンを作り出せない両チーム。浦安は残り1分から小宮山をピッチに送り出し、荒牧とのダブルフィクソで名古屋を封じにかかった。結局、最後までゴールは生まれず試合終了。ゲームは1対1のドローに終わった。試合後に名古屋から、今シーズンで引退する延本泰一審判員、浦安の小宮山に花束などが贈られた。

 

★米川監督「年明けから負けなしで選手権に臨めることを良いこと」《名古屋vs浦安》

◆バルドラール浦安
▽米川正夫監督
――試合を振り返って
「リーグ最終戦ということで、選手権につながる試合ができればと話して臨んだ試合でした。内容は客観的に見て、力の差が出たと思います。6対4ぐらいの割合で向こうが上だったように感じました。僕たちはクアトロで相手陣に進出し、真ん中を使おうとしていました。プレス回避がうまくいっていたときは良かったけれど、パスが一つずれると相手の圧力で押し戻されてしまう展開でした。リーグ戦はこれで終了なので、全日本選手権に向けて、少し休んで精度を上げていければと思います。年明けからリーグ戦は4勝3分け。負けなしで選手権に臨めることを良しとして、タイトル目指して頑張ります」

――前節のホームラストゲームで「3年間の集大成を見せる」と言っていた。見せられたか
「正直(手ごたえは)あまりありません。しかしリーグ戦だけでいえば、この試合は消化試合なのに、選手たちはその中でハードワークしてくれました。浦安のやってきた『ハードワークする』『ボール保持する』といったことをやった結果が引き分けということ。そういう意味で考えれば、まあ良かったと言えるのかもしれません」

 

★小宮山「リーグ全試合出場は初めて」《名古屋vs浦安》

◆バルドラール浦安
▽小宮山友祐選手
――試合を振り返って。
「名古屋の圧力あるプレスに対してどうシュートまでもっていくかがテーマでしたが、それはできたように思います。DFのところでは、名古屋はスキルの高いチームなので、一人で抑えられないときにどうカバーリングしていくか。そういうところは課題でした。こちらが点を取れそうなところもあったし、逆にポストに救われたところもありました。いずれにしろ、少ないチャンスを決めないと名古屋に勝てないということだと思います。決定力を高めないといけません」

――試合時間残り1分で投入された。米川監督から何か指示はあったか。
「特に言われていませんが、(星)翔太と代わったということで、時間帯や自分の役割から引き分けを狙うと判断しました。まずは失点しないことを考えました。酒井やシンビーニャら、体のある選手が出ていたので、僕や(荒牧)太郎が出ないと苦しいかなと。

――リーグ戦の最後のゲームとなった。
「10年間やらせてもらって、リーグ全試合出場は初めてなんです。毎年、警告累積やケガがあって、それだけは達成できなかった。全試合出場ということで、初めてチームに貢献できたように思います。成績は6位で、プレーオフも行けなかったことは心残りですが、自分が出せるものはすべて出し切りました」

――試合後のセレモニーで、名古屋から花束を贈呈された。
「全然、知らなかった。名古屋のクラブ関係者の皆さんには、ホーム戦にも関わらず、アウェーチームの自分に配慮していただき、感謝の気持ちでいっぱいです」

 

★ペドロ・コスタ監督「より良い準備をしていかなければ」《名古屋vs浦安》

◆名古屋オーシャンズ
▽ペドロ・コスタ監督
――試合を振り返って。
「ホーム最終戦でしたが、望んだ形ではありませんでした。ファンに喜びを与えて終わりたかったのですが、かないませんでした。勝負の世界ですから、簡単なものではありません。負ける可能性もあったと思います。先制点を取られましたが、取り返しました。内容は別にして、選手たちは勝つ気持ちをピッチの中に残し、逆転することだけを考えて戦ってくれました。うまく行かなかった試合ですが、こういう試合をプレーオフで引きずってはいけません。チャンスを生かせないことが課題。こういう試合だったからこそ、考えなくてはいけません。きょうの試合を踏まえ、より良い準備をしていかなければならないと思っています」

――ゴレイロを前半の岡島選手から後半、関口選手に交代した理由は。
「前回の試合から、岡島を前半に起用しています。今シーズン、篠田選手、関口選手とがんばってきたご褒美として最後、アウェイもホームもチャンスを与えたいという思いでした。試合の最初から前半で交代と決めていました。本来ならベンチにいる篠田は小さなケガをしています。ただ、回復しています。プレーオフは関口、篠田で行こうと考えています」

――24日から始まるプレーオフの相手、府中とは今季1勝1敗1分。どう戦うか。
「府中とは、どの試合も苦戦しています。彼らの特徴はフィジカルが強いこと。私たちがそこを突破できるかという勝負になるでしょう。われわれは若さとスピードがあります。ゲームの中でそれを生かしてペースを作っていきたい。そのためには戦術をブラッシュアップする必要があります。対戦相手のことだけではなく、われわれができること、伸ばせる部分がいっぱいあるので、プレーオフまでにそこを突き詰めていきます。すべての状況を把握した上で、引き分けよしという状況も含めて武器として使っていきます」

 

★八木「もっとチームに貢献したかった」《名古屋vs浦安》

◆名古屋オーシャンズ
▽八木聖人選手
――リーグ最終節。どんな位置づけのゲームだったか。
「チームとしては来週、プレーオフを控えているので、結果と内容両方にこだわっていきたい試合でした。個人としては、このゲームの前の時点で、あと1点で二けた得点だったので、点を取っていい勢いでプレーオフに臨みたいと思いました」

――得点シーンは、シンビーニャがスルーしたボールをシュートした。
「シンビーニャの後ろに入っていれば、ボールがこぼれてくるかなと考えてポジショニングしましたが、あそこにそのままパスが来るとは思っていませんでした。コースだけを意識してシュートしました」

――トップチームで1年間試合に出続けた。手ごたえはあったか。
「もっとチームに貢献したかったという気持ちしかありません。特に前半戦は迷惑ばかりかけていたし、ゴールも入りませんでした。それでも使ってくれて、ありがたかったというのが率直な思いです」

――シーズン進むにつれて、リーグに慣れたという実感はあるか。
「途中から、個人の得点を貪欲に狙うようになり、ちょっとずつ入るようになったと思います。シュート練習も増やしました。パスを選択せずシュートを打てば良かった、というシーンが少しずつ減っています。自分で打ち切る意識が高くなっている実感はあります」

 

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